第13回要旨[2005/6/17]
参加者
佐藤安信(東大)、児玉克哉(三重大)、新垣修(志學館大)、二村久則(名古屋大)、中西久枝(名古屋大)、大平剛(北九州大)、北村友人(名古屋大)、奥村礼子(大阪大院生)、山本哲史(名古屋大研究生)、杉本正次(CDIC)、早川真和(CDIC)
1. 研究活動状況報告(佐藤)
冒頭において、佐藤より東京の現況を中心に説明がなされ、特に、研究の連携に関しては活発な動きがあることが紹介された。
- 4月27日付けで東大事務を通じて学振に今年度の申請書を提出。新垣も研究会に復帰。
- アジ研報告書を配布の上、石田勇治(ドイツ史、ジェノサイド研究)・川喜田・佐藤の研究状況紹介。また、佐藤は国際開発学会(湘南)で峯(中部大)、戸田(JICA)と同席、中部大とは研究連携の可能性も模索中。同志社大にも関連分野での動きがあるとのこと。星野(大阪大)ともドイツにおける人間の安全保障関連の研究会で同席。篠田、松岡(広島大)や高橋(ICU)とも連携の可能性を探れればと考えている。本日の研究会後、特に篠田(広島大)とは具体的に懇談する予定。
2.出版物について
出版物に関してはDPの近刊予定者(二村及び大坪)の確認が行われ、叢書に関しては構成に関する擦り合わせが行われた。叢書構成はいまだ粗案であるため、今後もより緊密な意見交換が必要であることが確認された。
- DPはNo.6(中西)まで出版している。早急に関係者へ一組ずつ送付する予定。
- 叢書に関しては、佐藤案をたたき台に議論。2巻の構成については検討の余地あり(中西)。東大側でも、例えば遠藤(東大)はアフリカの中でも真実和解委員会を中心に執筆することを希望している。中西(名古屋大)と新垣(志學館大)のやり取りの中で、2巻のコンセプトは、いわゆる地域研究ではなく、あくまでも紛争や平和構築に限定された視点を想定していることが確認された。より根本的な構成に関しては、地域や紛争前・紛争後の問題のばらつきを懸念するコメントが児玉(三重大)らか出され、叢書全体のコンセプトの精査が必要であることが明らかとなったが、さしあたり現行案の第1巻に示された「4つの視点」に基づいて作業を進めることが佐藤(東大)から提案され、合意を得た。詳細は今後さらにメール等で連絡しながら、合宿などの可能性も含め、10月末日の締切を目指すことが提案された(佐藤)。
3.公開研究会及び今後の研究の方向性について
今後の公開研究会については、特に10月の科研の前年度申請を念頭に、難民研究にフォーカスしながら平和構築研究の核を構築してゆく方向性が佐藤から示された。また、実務の動きを重視する研究スタイルが確認され、来年3月の国際シンポジウムの可能性などもその線で議論された。
- Edward Newman(国連大学)には遠藤(東大)ルートで接触中。本人はあまり積極的ではないが、今後の平和構築研究会の方向性を考慮すれば、開催の方向で進めたい。研究6/23(木)にはHCR訪問(佐藤)するが、東京では東外大・東大(HSP)・国連大学は連携の動きを見せている。平和構築研究会としては、HCRを核として連携の幅を広げる可能性を模索できればと考えている(佐藤)。新垣(志學館大)の参与員参加の契機もあり、日本での難民受け入れも含めて難民を研究の核に据えて平和構築研究を進める可能性はありえると考えている(佐藤)。
- 次回研究会は9/30(金)及び11/25(金)、さらに1月末か3月には国際シンポも考えている。来年度にまわすことも考えつつ、どちらかと言えば、予算執行の都合上、年度内に国際シンポを開催する計画で進められれば理想的であると考えている(佐藤)。10月には科研の前年度申請(基盤S)を、難民研究を核として進めるため具体的な議論をしたい(佐藤)。ドイツでは平和構築関係の実務に法律家が重要な役割を果たすなどしているが、研究が実際の社会に関わり、働きかける可能性も踏まえ、日本政府へのインパクトを考えてゆきたい。
- ドグマチックに法的議論など中心に研究を展開するよりは、より実務的な方向が望ましいのではないのかと考えている。その点では塚本(IDCJ)のような実務家やJICA招聘の保健医療関係の東チモール担当官などとの接触も想定される(杉本)。その他、カンボジア(北村)、スリランカ(中西、新垣、それぞれ別ルート)における現況にも目を配りつつ、3月に国際シンポを開催するとすれば現地の適任者を報告者として招聘することも考えたい(佐藤)。
- 二村(名古屋大)からはメキシコ出張の経緯が報告され、DPについてはコロンビアの事例で近刊する予定が示された。今後の出張に関しては、中西(名古屋大)からは、パレスチナとイスラエルとを隔離する壁の建設とそれがもたらすパレスチナ住民への社会・経済的インパクトに関わる調査を実施するための出張を予定していることが示され、大平(北九州大)からはボスニアへの平和構築がらみのODA(小学校建設及び運営)の現況調査予定が示された。児玉(三重大)からはGPPAC(合衆国)への出張予定が紹介され、北村(名古屋大)からはUNESCO(パリ)への出張予定、新垣(志學館)からは中南米での強制移動に関する学会への参加予定が示された。佐藤はロンドン、ローマ、スウェーデン、ベトナムなどの研究機関を訪問しての研究連携の可能性の模索などの予定が示された。
- データベースに関しては、紛争予防データベース(児玉)や難民の判例に関するデータベース(新垣)との連携の可能性が提案された。
4.次回の研究会
次回の研究連絡会及び公開研究会の日程が決定された。
- 次回は9/30(金)に設定され、公開研究会についてはEdward NewmanないしGSID招聘の客員研究員に報告者を依頼する予定が示された(佐藤及び中西)。