第18回要旨[2006/6/30]
参加者
佐藤安信(東京大)、二村久則(名古屋大)、北村友人(名古屋大)、山本哲史(東京大)、杉本正文(CDIC)
1. 出版物のスケジュールについて
- ドラフトを提出してもらってそれをたたき合うという趣旨であったがうまくいっておらず、どのあたりに絞ればいいのかということで悩んでいる執筆者も少なくない(佐藤)、という現状が話し合われ、この点、自分の担当部についても当初の目次案とは異なる形で国際協力に直結する部分として書き、平和と共生については削除した(北村)という説明もなされた。その中で、今回の執筆の基本姿勢としては、執筆者間で調整することもさることながら、まずは執筆者各自の目的意識で書いてゆき、その上で、コメントを交わしながら修正してゆけばよい(佐藤)という見解が示された。
2. 出版のための具体的ルートについて
- 商業ベースでの出版の可能性を模索して岩波と朝日新聞に打診しているが、今回の企画のような共著の学術的議論という形態は難しいという回答を得ている(佐藤)ことが説明され、他方、東京大学出版で叢書を出すという企画があり、人間の安全保障プログラムでもこれで教科書執筆という話も出ており、また、学術振興会「研究成果公開促進費」などを利用することも視野に入れている(佐藤)という説明があった。この点に関して、学術振興会の補助金を利用する場合は出版物の値段が跳ね上がってしまうおそれがあり、しかもその申請書提出段階においてすでに原稿が整い、出版社とも具体的計画が詰められていなければならないという点を踏まえれば、東京大学出版がベターではないかと考えている(北村)という意見が出された。その他、名古屋大学出版などの可能性もあるが、これは審査がかなり厳しくなるであろう(北村)という意見も交わされた。
3. 執筆内容について
- 当初の三巻構成から、三部構成の一巻構成に変更したという経緯があったと思うが、再び三巻構成になったと理解して良いのか(二村)という質問に対し、さしあたり原稿を集める方針であり、なかでも理論部分のフレームワークを提示してからの方がよいということで、前回の研究連絡会において三巻構成に戻すことが決定された(佐藤)ことが説明された。これに対し、三巻構成自体に反対するわけではないが、理論部の三名の負担が重くなることが懸念される(二村)という意見が出された。この点については、とりあえず原稿を持ち寄った上で、場合によってはまずは簡易印刷になるような報告書をまとめてみて、徐々に形成すれば良いであろう(佐藤)ということで合意を得た。
- 計画としては多彩な執筆陣が名前を連ねているが、実質的には確実な原稿提出が見込まれているのはどの部分なのか(北村)という質問に対し、第一章については有力に見込まれる(佐藤)ということと、第二章についても一部例外をのぞいては見込まれる(佐藤)ことが説明された。また、第二部(第三章及び第四章)についても同様の状況であるが、第三部のみまだ手つかずという状況である(佐藤)ことが説明された。この点に関係して、一部及び二部を先行させてはどうか(二村)という意見が出され、それを今年度中に完成する計画で考えている(佐藤)ことが説明された。また、研究会のメンバー外による執筆に関係して、すでに提案されていたように第二部のコロンビアの前か後くらいの部分に狐崎論文を挿入する(二村)ことが確認され、本人に打診することで合意を得た。
- 近年出版されている平和構築分野の関係著作は多く、その中で今回の叢書はどのような特徴を出してゆくべきかという点については、以前から研究連絡会で言及があるように、紛争の非暴力的な処理または管理、紛争(構造)原因の問題などの「四つの視点」が示されることが独自性であり、これまで体系が提示されてこなかった部分を扱おうとするものである(佐藤)ことが説明された。
4. 今後の日程について
- 第二稿の締め切り前に一度研究会を開催し、そこで内容を詰めることが提案(北村)され、その具体的なスケジュールとしては8月25日(金)の夕刻が候補にあがった。可能であれば宿泊して翌日まで缶詰状態で議論することが提案され(佐藤)、検討することで合意を得た。
- 執筆以外の面では、10/21-22日に人間の安全保障プログラムとの共催でカンボジア平和構築シンポを企画している(佐藤)ことが説明された。主要パネリストとして明石さんや国連本部からも参加者があり、カンボジアからは情報大臣の参加を打診している現状(佐藤)などが説明された。
- その他、今後の平和構築・人間の安全保障研究の推進手段の方向性及び可能性の一つとして、「平和ビジネス」研究が紹介され、東京大の産学連携の枠組みの中で具体的に動き始めている状況が説明された(佐藤)。この点、「平和ビジネス」というと、例えば防弾チョッキやアーマードカーを想像してしまうが、具体的にどのようなものが想定されているのか(二村)など、質問が交わされた。
- また、ブックレットの出版予定についても若干説明があり(杉本)、メール等によって関係者間で連絡を取りながら進めることとなった。