第17回要旨[2006/4/28]
参加者
佐藤安信(東京大)、児玉克哉(三重大)、新垣修(志學館大)、川喜田敦子(東京大)、山本哲史(東京大)
1. 研究分担者の増減について
- 大坪がはずれ、山本哲には研究者番号がないということで当面分担者として記載できないため、今年度は1名少なくなった。山本哲は研究協力者として、分担者になれるようになった段階で組織変更届けで追加予定[佐藤]。
2. 予算について
- 直接経費440万という枠内で、山田さんの謝金に講演者謝金を加えることになる。10月には2日間にわたってカンボジアの平和構築評価に関する国際シンポをやる予定であり、その謝金も予定している[佐藤]ことが説明された。
また、旅費は100万程度で予定し、その他、ブックレット3回分の出版費を計画している。なお、本年度はCDICの議事録作成費を削減し、備忘録程度の要約議事録を山本哲が作成するのみとする[佐藤]ことが確認された。
3. 今後の日程について
- 第一稿の締切を5月末日とし、その読み合わせをした上で次回は6/30(金)に北村(名古屋大)を報告者として研究会を開き、9/29(金)は第二稿の締切とし、11/17(金)を最終稿締切という日程が確認された[佐藤]。
4. 叢書の構成について
- 今回の執筆に関しては、著者間で共有可能なシンプルな新概念が必要であると考えていて、「経済開発」、「社会開発」及び「人間開発」に通底しつつ、将来への展望と関係する「希望開発」でどうかというアイデアを持っている[児玉]という意見に対して、「希望」とはどのようなものとして構想しているか[新垣]、情緒的なものであるか、といった質問がなされた。これに対して、将来への視点や展望であり、紛争後の社会や難民キャンプなどのみならず先進国にも該当する概念として想定している[児玉]ことが説明された。例えば難民の問題で考えれば、現状の苦しさ以上に将来の展望が開かれないことが問題であり、それを「希望開発」という概念として集約できないだろうか[児玉]という意見に対し、概念がいまだ掴みきれないが、例えば逆に自分の担当部としては「絶望構造」の解明という内容で対照的な論述ができるかもしれない[新垣]などの意見が交わされた。さらに「希望開発」については、ポーランドとドイツの対話の事例[川喜田]や80年代のアフリカ難民援助を研究した研究など[山本哲]に当てはめて考えると、いろいろな可能性があるかもしれないと議論されたもののもう少し全体で詰める必要性があることが出席者間で共有された。この概念については、例えば戦前の日本などはいわゆる西欧列強の圧力の中にあって近代化の末に大陸に希望を求め、不幸な結果につながったという側面もあると言えようが、その意味では「希望」の衝突もありうるわけであって、誰の目から見た「希望」であるかを考えることが重要である[佐藤]ことが指摘された。なお、東大の社会科学研究所が、希望学プロジェクトに取り組んでおり、成果の一部が、2006年4月に中公新書ラクレから「希望学」として出版されていることが判明し、これを参照することが付言された[佐藤・児玉]
また、「平和構築」の射程の明確化が必要であるが、これは佐藤論文が2つあるのである程度明確化しているとしても、「紛争」概念の明確化が必要ではないかと考えている[新垣]という意見が述べられた。これに対し、ポスト冷戦下における(特に経済の)グローバリゼーションや市場経済化の中でのアメリカナイゼーションなどの中でのいわゆる「新しい戦争」や、国家間紛争よりむしろ日常レベルでの紛争を想定してよいのではないか[佐藤]という意見が述べられ、いずれにしてもあらゆる論点は各担当者間で直接メールや電話などで議論が必要である[佐藤]ことが確認された。